THINK GLOBAL,
ACT LOCAL

荒井 智子

株式会社ガイアックス
管理本部 まいにち食堂

社員食堂の立ち上げ、食堂のおばちゃんに

荒井さんはどのようなお子さんでしたか?

もともとは正義感の強いタイプの子どもだったらしいです。ちょっと意識高い系というか。「世の中もっとよくなったらいいのにー」と。漠然とですが、生まれながらにして思っていたみたいです。

生まれながらにして(笑)

はい。それもあって、大学に入学してからは、途上国支援などの活動をしたりしていました。将来は国連で働きたいなという思いもあったのですが、アルバイトで働いた会社が、ミッション感の強い会社だったんです。世の中に必要なことをビジネスという手法で実現しているような会社でした。自分の想いと近いと感じました。そこで4年間アルバイトをしているうちに、世の中に必要なことをビジネスという手法で自分もやりたいという気持ちが固まり、入社したのがガイアックスでした。

最初から社員食堂に関わっていたのですか?

いえ、カスタマーサポートの法人営業を2年ほど経ています。入社時に、配属希望を聞かれるんです。でも、あえて配属希望を言いませんでした。なんでもとりあえずやってみようという気持ちがありました。

自分の手の届く範囲の人を幸せにできるようになりたい

Tomoko Arai

なぜいま、社員食堂のおばちゃんに?

当初は、社内で食堂をやるという発想自体ありませんでした。発展途上国の支援に携わった時に「なぜ途上国なんだ?」という問いと向き合ったように、本質的なことを考えていくうちに、なにか一足飛びに大きいことをしようとするのではなく、自分の身近な人たちを幸せにしたいと考えるようになりました。

なぜ『食』なのですか?

人が心身ともに健康に生きていくことがいかに大切かということに気づき、それをダイレクトに支援できることってなんだろう?と考えました。そして、生きることに本質的に近いのは『食』ではないかと。自分自身がアレルギー体質だというのもあり、健康に関する興味は学生時代から強くありました。

『食』を扱わないIT企業で社内食堂を始めるきっかけはなんだったのでしょう?

外部のセミナーに参加したことがきっかけです。そこでの体験で、自分のやりたいことがどんどん明確になっていってしまって。わりとすぐだったと思います。直属の上司に、「やりたいことが見つかっちゃいました、すみません!」と打ち明けました。

それに対して、上司はなんと?

娘のように可愛がってくれていた上司で。喜んで、しかも励ましてくれました。ガイアックスは好きだったんです。本当に。辞めたいという思いも一切なかったのですが、ソーシャルメディアやITと『食』をどう考えても結びつけられないと、泣く泣く伝えたという感じでした。

辞めるしかないんだろうなぁ、と?

はい。IT企業だとやっぱり難しいよなと思っていました。

仕事とは、『社会』で役割を担うことではないかなと思います。社会とは、会社だけではなくて、地域だったり家庭だったりも含めて、いま目の前にいる誰かと一緒に幸せになることが、私が現段階で一番大切にしている人生のミッションです。

イノベーションは辺境から生まれる

でも辞めずにいまも同じ会社で働いている。具体的に、社員食堂を始めるまでにはどのような経緯があったんですか?

当時所属していた部署の部長だった江戸さん(現アディッシュ(株)CEO)が、「社内でやれば?」と言ってくれたんです。その時、すごく刺さった言葉があります。『イノベーションは辺境から生まれる』という言葉です。これは、今、私の軸にもなっています。飲食業界にいきなり飛び込んでしまうと、知らない間にその飲食の業界に染まり、その世界の基準で物事を考えてしまう。でも、あえてIT企業という、辺境の地にいれば、違う場所にいるからこそ見えるものがあると。言われた時はハッとしました。本当にそうだなあと。私自身、食の世界をよく知らないからこそ、既にその業界にいる人たちとはまた違った視点が持てるのではないかと思いました。

IT業界にいる自分だからこその視点があると。

そうなんです。違う人脈、世界を見ているからこそできることもあるわけで。近すぎると見えないことも、距離があるからこそ、見えてくることがあるんじゃないかなと考えました。だから、ガイアックスでやりたい!と思いました。

すべてはつながっている。とにかくやってみよう

食堂は、現在どのような感じですか?

まだ立ち上げて半年ですが、すごく喜んでもらえていて、思ったよりもニーズがあるのではないかなと感じています。現在は、仕入れ・仕込み・配送などをすべて私1人で行っているため、1日限定30食の提供、と少ない数ではあるのですが、ありがたいことに完売しています。それから、食べ物そのものより、そこに付随してくるもの、ちょっとしたコミュニケーションだったりを喜んでもらえている感触があります。それを発見できたことが嬉しかったです。

逆に難しかったことはありますか?

ひとりであることの難しさは本当に痛感しました。チームのありがたさが身にしみます。いざ相談したいときに相談できる人がいない、話し合える相手、同じ方向を向いている相手がいないというのは、やっぱり堪えました。
本当は、周りを見渡すと、社内にいくらでも話を聞いてくれる人がいたのですが、食堂の立ち上げ当初は、目の前のことに必死になりすぎていて、業務を少し離れて周りに相談をする余裕すらありませんでした。
でも、法人営業の経験も、もちろんその他の経験も、結局はすべてつながっていると感じています。そのおかげで、いまの状況も、なんとか取り組むための選択肢の幅が広がっているのではないかと思います。だからいまは、「とにかくやってみよう!」という感じです。

Mainichi Shokudo
Mainichi Shokudo

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では最後になりますが、働く女性として、いま荒井さんご自身がどのようなことを考えてらっしゃるかを伺いたいです。

私自身は、バリバリのキャリアウーマンと思われることが多いのですが、実はすごく違和感があります。仕事で「こういうことをしたい!」ということが明確にあるので、そう思われがちなのですが(笑)。

「働く女性として」と言われて考えるのは、やはり仕事と家庭の顔です。妻として完璧に家事をこなしたいという思いと、仕事を100%やりたい!という思いには常に悩まされてきました。ただ、ここまで仕事をしてきて感じたのは、やりたいことがある限り、仕事というのは一生落ち着かず、バタバタとし続けるんだろうなということです。だから、「仕事が落ち着いたら、○○しよう」という考えは捨てることにしました。常に、仕事も家庭も全力で大切にしながら、仕事と家庭のどちらかを取る、という選択肢以外の選択肢に挑戦したいという気持ちです。欲張りなんですが、そこは譲れないです。

荒井さんにとって、仕事とは?

『社会』で役割を担うことではないかなと思います。社会とは、会社だけではなくて、地域だったり家庭だったりも含めて、いま目の前にいる誰かと一緒に幸せになることが、私が現段階で一番大切にしている人生のミッションです。もちろん、まだ手探りですので、アプローチはその都度変わっていくと思うのですが、情熱を持ち、真摯であれば、ルートが変わったりしても、最終的には心の奥でずっと行きたかった場所にちゃんと辿り着けるのではないかなと思います。